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フッ素塗料・シリコン塗料・無機塗料の違いとは?それぞれの特徴と選び方

2025.10.28

フッ素塗料・シリコン塗料・無機塗料の違いとは?それぞれの特徴と選び方

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いざ外壁塗装を検討し始めると、多くの塗料の種類があることに驚かれるかもしれません。
現在の外壁塗装リフォームでは「シリコン塗料」が主流ですが、最近では「フッ素塗料」や「無機塗料」といった、さらに耐久性の高い塗料が注目を集めています。
「フッ素や無機は高いと聞くけど、シリコンと比べてどれくらい長持ちするの?」
「初期費用は高くても、長い目で見たらお得になるって本当?」
「うちの家には、どの塗料が一番合っているんだろう?」
こうした疑問をお持ちの方は非常に多くいらっしゃいます。塗料選びは、外壁塗装の満足度と、将来のメンテナンス計画を左右する重要な分岐点です。
この記事では、外壁塗装の専門家が、「シリコン塗料」「フッ素塗料」、そして次世代の塗料として注目される「無機塗料」の3つに焦点を当て、それぞれの特徴、メリット・デメリット、そして後悔しないための選び方について、詳しく解説していきます。

「シリコン」「フッ素」「無機」を分かりやすく比較!

まずは、3つの塗料がどのような位置づけにあるのか、全体像を掴んでいただくために、特徴を一覧表にまとめました。

塗料の種類 耐用年数

(目安)

1㎡あたりの単価(相場) 特徴
シリコン塗料 10年~15年 2,300円~3,500円 コストと性能のバランスが最も良い

現在の主流

フッ素塗料 15年~20年 3,800円~4,800円 高い耐久性・耐候性

汚れを雨で流す(低汚染性)

無機塗料 20年~25年以上 4,500円~5,500円 圧倒的な超耐久性

超低汚染性

※上記はあくまで目安です。立地条件や下地の状態、使用するメーカーの製品によって変動します。
この表からもわかる通り「シリコン⇒フッ素⇒無機」の順に、耐久性と価格が上がっていくのが基本的な位置付けです。

ポピュラーな「シリコン塗料」の特徴

まずは、現在日本の戸建て住宅の外壁塗装で最も多く使用されている「シリコン塗料」です。
「コストと性能のバランスが取れた、定番の塗料」とお考えいただくと分かりやすいでしょう。

シリコン塗料のメリット

シリコン塗料の最大のメリットは、そのコストパフォーマンスの高さにあります。10年〜15年という十分な耐用年数を持ちながら、価格が比較的リーズナブルです。
また、塗膜に適度な光沢があり、汚れが付着しにくい「低汚染性」も兼ね備えています。さらに、塗膜の柔軟性もそこそこあるため、建物がわずかに動いた際のひび割れ(クラック)にもある程度追従してくれます。

シリコン塗料のデメリット

シリコン塗料は非常にバランスの取れた塗料ですが、フッ素塗料や無機塗料と比較した場合、やはり「耐用年数」の面では一歩劣ります。
約10年〜15年が塗り替えの目安となるため、例えば30年、40年と長く住み続けることを考えると、その間に2回〜3回の塗り替えが必要になる計算です。
また、「シリコン塗料」と一口に言っても、その品質はピンキリです。シリコン樹脂の含有率が低い安価な製品も存在し、そうした塗料を選んでしまうと、期待した10年の耐久性を発揮できないケースもあります。

シリコン塗料がおすすめな方

初期費用をできるだけ抑えたい
10年後くらいには、また違う色に塗り替えて気分を変えたい
将来的に引っ越しや建て替えの可能性もゼロではない
このような考えをお持ちの方には、シリコン塗料をおすすめします。

高い耐久性と耐候性を誇る「フッ素塗料」の特徴

 

次にご紹介するのが「フッ素塗料」です。シリコン塗料の一つ上のグレードとして、高い耐久性を求めるお客様から選ばれています。
フッ素塗料は、蛍石(ほたるいし)を原料とする「フッ素樹脂」を主成分としています。このフッ素樹脂は、非常に強力な結合エネルギーを持っており、紫外線や酸性雨などの過酷な環境に対して抜群の強さを発揮します。
身近な例でいえば、フライパンの「テフロン加工」もフッ素樹脂の一種です。汚れや水がこびりつきにくいイメージが湧くのではないでしょうか。

フッ素塗料のメリット

フッ素塗料の最大のメリットは、シリコン塗料を上回る高い耐用年数です。一般的に15年〜20年とされており、一度塗装すれば長期間にわたって塗り替えの必要がありません。
また、低汚染性(汚れにくさ)も非常に優れています。塗膜の表面が非常に滑らかで、雨が降ると汚れを一緒に洗い流してくれる「セルフクリーニング機能」を持つ製品が多いのが特徴です。幹線道路沿いや工場地帯など、汚れが付きやすい環境にお住まいの方には、特に大きなメリットとなります。
さらに、美しい光沢(ツヤ)が長持ちするのも特徴です。塗りたての美しい外観を長く維持したいという方にも適しています。

フッ素塗料のデメリット

フッ素塗料のデメリットとしては、まず価格の高さが挙げられます。
シリコン塗料と比較すると、塗装面積にもよりますが、一般的に20万円〜40万円ほど初期費用が高くなる傾向があります。
もう一つの注意点が「塗膜の硬さ」です。フッ素樹脂は非常に強固な塗膜を形成しますが、その反面、柔軟性はやや劣ります。そのため、地震や振動などで建物が大きく揺れた場合、塗膜が追従できずにひび割れ(クラック)を起こしやすいという側面も持っています。

フッ素塗料がおすすめな方

塗り替えの回数を減らして、トータルのコストを抑えたい
前面道路の交通量が多い場所に家がある
いつまでも新築のような美しい外観を保ちたい
このような方は、初期費用はかかりますが、フッ素塗料を選ぶ価値が十分にあります。

次世代のスタンダード「無機塗料」の特徴

最後にご紹介するのが、現在最も注目されている「無機塗料」です。無機塗料は、その名の通り「無機物」を主成分とする塗料です。無機物とは、石やレンガ、ガラスといった、紫外線によって分解されない物質のことです。
従来の塗料(シリコンやフッ素)は、樹脂という「有機物」を主成分としていたため、どうしても紫外線の影響で徐々に劣化してしまいました。無機塗料は、この劣化しにくい無機物の性質を利用し、塗料の耐久性を極限まで高めたものです。

無機塗料のメリット

無機塗料のメリットは、フッ素塗料をも凌ぐ圧倒的な超耐久性です。製品によっては20年〜25年、あるいはそれ以上の耐用年数を誇るものもあります。
さらに、フッ素塗料以上に低汚染性を発揮します。塗膜が非常に硬く、静電気を帯びにくい性質があるため、チリやホコリ、排気ガスなどが付着しにくいのが特徴です。
また、カビや藻も発生しにくいため、北側の日が当たりにくい外壁も長期間クリーンに保つことができます。

無機塗料のデメリット

まさに最強とも思える無機塗料ですが、もちろんデメリットも存在します。最大のデメリットは価格の高さです。ご紹介した3つの中では最も高価であり、シリコン塗料と比べると工事費用は大きく上がります。
また、フッ素塗料以上に「塗膜が硬い」という性質があります。そのため、ひび割れが起こりやすい木造住宅や、築年数が経過して動きが大きくなっている建物の場合、相性が悪い可能性があります。
そして、最も重要な注意点が施工の難易度です。無機塗料は非常にデリケートな塗料であり、塗布量や乾燥時間、下地処理の精度などが仕上がりに直結します。
メーカーの施工基準を熟知し、高い技術力を持った職人でなければ、その性能を100%引き出すことはできません。

無機塗料がおすすめな方

とにかく一番長持ちする、最高の塗料を使いたい
塗り替えは、今回で最後にしたい
初期費用が高くても、30年、40年スパンで考えればお得だと理解できる
家の資産価値をできるだけ高く維持したい
これらに当てはまる方にとって、無機塗料は最良の選択肢となるでしょう。

フッ素・シリコン・無機塗料、結局どれを選ぶべき?後悔しないための3つの視点

ここまで3つの塗料をご紹介してきましたが、「結局、自分の家にはどれが良いのか?」と悩まれるかもしれません。
塗料選びで後悔しないためには、以下の3つの視点から総合的に判断することが重要です。

視点①「ライフサイクルコスト」で比較する

外壁塗装は、一度きりで終わりではありません。その家に住み続ける限り、定期的なメンテナンスが必要になります。
そこで重要になるのが、「ライフサイクルコスト(LCC)」という考え方です。これは、初期費用(イニシャルコスト)だけでなく、将来かかるメンテナンス費用も含めた、生涯コストのことです。
初期費用で見れば、「シリコン < フッ素 < 無機」の順で高くなります。
しかし、30年間のトータルコストで比較すると、高耐久性塗料は塗装回数が減るため「無機 < フッ素 < シリコン」と、順位が逆転する可能性があります。
もちろん、塗装工事には高額な「足場代」が毎回かかります。高耐久な塗料を選ぶことは、この足場を組む回数そのものを減らすことにつながるため、トータルでの費用対効果が高くなるのです。

視点②現在の外壁の状態と塗料の相性で選ぶ

ライフサイクルコストは重要ですが、それだけで決めてはいけません。現在の外壁材の種類や、劣化の状態との相性も考慮する必要があります。
例えば、ひび割れ(クラック)が多く発生している外壁に、硬いフッ素塗料や無機塗料をそのまま塗ってしまうと、せっかく塗装しても、すぐに下地の動きに追従できず、再びひび割れが発生してしまう恐れがあります。
その場合は、下地補修を徹底した上で、あえて柔軟性(弾性)のあるシリコン塗料を選ぶか、もしくは高耐久塗料の中でも弾性機能を持った製品を選ぶ必要があります。
また、現在の外壁が「窯業系サイディング」なのか、「モルタル」なのか、それとも「ALC」なのかによっても、最適な塗料や下塗り材の選定は変わってきます。まずは信頼できる専門工事業者に詳細に現地確認をしてもらい、意見を聞くことをおすすめします。

視点③将来の住まい設計で選ぶ

最後に、ご家族の将来設計も重要な判断基準です。
「この家は子どもたちに引き継いで、あと40年、50年と住み続けてほしい」
このようにお考えであれば、無機塗料のような超高耐久塗料を選び、メンテナンス回数を最小限に抑えるのが賢明です。
「子どもたちは独立したので、あと10年くらい住んだら、売却してマンションに移ることも考えている」
という場合、20年以上の耐久性を持つフッ素や無機塗料は、オーバースペックになってしまうかもしれません。その場合は、シリコン塗料でコストを抑え、10年間しっかりと家を保護するほうが合理的です。
このように、「価格」「耐久性」「将来設計」の3つのバランスが取れた塗料こそが、お客様にとっての「最適な塗料」と言えます。

まとめ|ご自宅に最適な塗料を選び、大切な住まいを長持ちさせましょう

今回は、「シリコン塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」という3つの主要な塗料について、その違いと選び方を解説しました。
どの塗料が「絶対的に正しい」ということはありません。
「ライフサイクルコスト」「外壁の状態」「将来設計」という3つの視点で、ご自身のご自宅とご家族にとって「最適」な塗料を選ぶことが、後悔しないリフォームにつながります。
そして、その塗料の性能を最大限に引き出すためには、信頼できる施工業者の存在が不可欠です。
オーネストリフォーム株式会社は、船橋市・八千代市・習志野市エリアの皆様の「大切な住まいの主治医」として、これからも高品質な外装リフォームをご提供してまいります。
ささいなご不安や疑問点でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。