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コラム内容
築10年以上の住宅は要注意!外壁の劣化が雨漏りを招く理由
2025.05.28
築10年以上が経過した住宅の外壁を見て、雨漏りの不安を感じる方は多いでしょう。新築時は美しかった外壁も、長年の雨風や紫外線により色褪せや汚れが目立ち始めます。外壁の劣化は見た目の問題だけでなく雨漏りにつながる可能性もあるため、その劣化状況に応じて適切なメンテナンスをすることが大切です。
外壁リフォームを専門業者に依頼しようと考えても、どこに頼めばいいのか、費用は適正なのか、悪質な業者に騙されたりしないかなど、心配事は尽きません。この記事では、そんなお悩みをお持ちの方に向けて、外壁の劣化がなぜ雨漏りを引き起こすのか、そのメカニズムを詳しく解説します。
外壁の劣化が雨漏りを引き起こすメカニズム
「外壁が古くなると雨漏りしやすくなる」とはよく聞きますが、具体的にどのようなメカニズムで雨漏りが発生するのでしょうか。
まずは、住宅を守る外壁の重要な役割と、劣化が雨漏りにつながる理由について理解を深めましょう。
・外壁の重要な役割
外壁は様々な外部環境から守る「盾」のような役割を担っています。
具体的には次のような役割があります。
✅風雨や強い日差しから室内環境を守る
✅室内への外気温の影響を和らげる
✅騒音を遮断する
✅近隣からの延焼を防ぐ
外壁の最も重要な役割は、雨水や風、そして強い日差しが建物内部へ侵入するのを防ぐことです。これにより、室内の快適な環境が保たれ、建物の構造体も保護されます。
外壁材は外気温の影響を和らげ、室内の温度を一定に保つ役割も果たします。外壁が断熱・遮熱機能を果たすことによって冷暖房の効率が高まり、省エネにも繋がります。
外からの騒音を遮断し、静かで落ち着いた住環境を守るのも外壁の役割の一つです。
また、近隣からの火災発生時に燃え広がりを抑え、避難時間を確保するため外壁材には耐火性能が求められます。
・外壁の劣化が雨漏りに直結する理由
しかし、この重要な外壁も経年とともに様々な要因で劣化していきます。
そして、その劣化箇所から雨水が浸入し、雨漏りを引き起こしてしまうことがあります。
主な劣化原因としては、以下のようなものが挙げられます。
✅太陽光(紫外線):塗膜を劣化させ、外壁の防水機能を低下させます。
✅雨風・雪:外壁表面が傷付くことによってダメージを与えます。
また、劣化箇所から浸入した水分が膨張・収縮を繰り返すことで内部からの劣化を促進します。
✅気温の変化:昼夜や季節による寒暖差で、外壁材が伸縮しひび割れや反りを引き起こし、損傷することがあります。
✅地震などの振動:建物の揺れによって、外壁材やシーリング材に負荷がかかり、亀裂や剥離が生じることがあります。
これらの要因によって、外壁材そのものや部材のつなぎ目を埋めるシーリング材が劣化すると防水機能が低下してしまい、雨水が建物内部へと浸入する経路ができてしまいます。これが、外壁の劣化が雨漏りを招く主なメカニズムです。
・外壁の代表的な劣化症状
外壁からの雨漏りの直接的な原因となりやすいのは、以下の3つの劣化症状です。
✔ひび割れ(クラック)
窯業系サイディングやモルタル外壁材の表面に生じる亀裂のことです。表面の塗膜的なものから、外壁材を貫通する深いものまで様々です。
特に0.2mm以上の幅のひび割れは雨漏りのリスクが高いと言われています。ただし、微細なひび割れであっても、毛細管現象によって雨水が吸い込まれ内部への浸入経路となる可能性があります。
また、ひび割れを原因とする凍害にも注意が必要です。ひび割れ箇所から浸入した水分によって外壁材が水分を含んだ状態になり、冬季の凍結によって氷が内部膨張し、外壁材を破壊してしまう現象です。
✔シーリング(コーキング)材の劣化
外壁材の継ぎ目やサッシや換気フードの周りなどに充填されている
ゴム状の素材がシーリング材(コーキング材)です。
このシーリング材は、外壁のつなぎ目や貫通部を保護し、雨水の浸入を防ぐ重要な役割を担っていますが、紫外線や雨風の影響でいずれは硬化し、ひび割れたり剥がれたりします。
劣化したシーリング材の隙間は、雨水にとって格好の浸入口となってしまいます。外壁からの雨漏りの原因として非常に多いケースです。
✔塗膜の劣化・剥がれ
外壁の表面を保護している塗膜は、紫外線や雨風によって徐々に劣化し、防水性や耐久性が低下します。チョーキング現象(壁を触ると白い粉が付く状態)は塗膜劣化の初期サインです。さらに劣化が進行すると、塗膜が膨れたり、剥がれたりして、外壁材自体が直接雨水に晒されるようになります。これにより、外壁材の吸水性が高まり、内部への雨水浸入や、外壁材そのものの劣化を早める原因となります。
これらの劣化症状は、放置すればするほど雨漏りのリスクを高めるだけでなく、建物の寿命を縮めることにも繋がりかねません。
外壁の劣化を放置する深刻なリスク
外壁の劣化に気付いていても、「まだ大丈夫だろう」と気にせず詳細な点検を先送りしてしまうケースが多々見受けられます。しかし、外壁の劣化を放置することは雨漏り以外にも次のような深刻なリスクを引き起こす可能性があります。
・雨漏りが引き起こす二次被害
外壁の劣化から雨水が浸入すると、まず懸念されるのが雨漏りです。そして、この雨漏りは以下のような二次被害へと発展する可能性があります。
・構造材の腐食・劣化
建物内部に浸入した雨水は、柱や梁、土台といった建物の骨組みである構造材を濡らし、腐食させてしまいます。特に木造住宅の場合は木材が腐食することで建物の強度が著しく低下し、地震などの際に倒壊のリスクが高まる可能性があります。鉄骨造の住宅でも、鉄骨が錆びて強度が落ちることがあります。
・シロアリの発生
湿った木材はシロアリの大好物です。木造住宅は雨漏りによって構造材が湿気を含むと、シロアリを呼び寄せてしまい、柱や土台が食い荒らされてしまう危険性があります。シロアリ被害は建物の耐震性を著しく損ない、大規模な修繕が必要になることも少なくありません。
・断熱材の機能低下
外壁の裏側にあるグラスウールやロックウールといった断熱材が雨水を含むと、その性能が著しく低下します。断熱性能の低下によって夏暑く冬寒い家になり、冷暖房効率が悪化して光熱費の増加にも繋がります。また、湿った断熱材はカビの温床にもなります。
・カビの発生と健康被害
雨漏りによって壁の内部や天井裏、床下などが常に湿気を含んだ状態になると、カビが繁殖しやすくなってしまいます。発生したカビの胞子は室内の空気中に飛散し、アレルギー性鼻炎や気管支喘息、皮膚炎などの健康被害を引き起こす原因となることがあります。特に小さなお子様や高齢者、アレルギー体質の方がいるご家庭では注意が必要です。
・漏電・火災のリスク
浸入した雨水が電気配線やコンセントに触れると、漏電を引き起こす可能性があります。最悪の場合、火災に繋がる危険性も否定できません。
・資産価値の低下
外壁の劣化や雨漏りを放置すると、建物の美観が損なわれるだけでなく、上記のような構造的な問題や健康被害のリスクから、住宅の資産価値も大きく低下してしまいます。将来的に売却を考えている場合、査定額に大きく影響する可能性があります。
このように、外壁の劣化を放置することは、単に雨漏りの問題だけでなく、お住まいの安全性、快適性、そして資産価値にまで深刻な影響を及ぼすのです。早めの点検と適切なメンテナンスが、大切なお住まいを守るために不可欠です。
外壁が原因の雨漏り修理方法と気になる費用相場
万が一、外壁からの雨漏りが発生してしまった場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、代表的な修理方法とその費用相場について解説します。
・雨漏りの原因箇所に応じた修理方法
外壁からの雨漏りの修理は、原因となっている箇所や劣化の程度によって適切な方法を選択する必要があります。
・シーリング(コーキング)の補修・打ち替え
サイディングの目地や窓サッシまわりなどの劣化したシーリング材を撤去し、新しいシーリング材を充填し直します。部分的な補修で済む場合もありますが、広範囲に劣化が進んでいる場合は、足場を組んで全体の打ち替えを行うこともあります。
【費用相場】
部分的な打ち替え:1mあたり700円~1,500程度
全体の打ち替え:20万円~50万円程度
・ひび割れ(クラック)の補修
ひび割れの幅や深さに応じて、専用の補修材を充填します。軽微なものはシーリングの充填で済む場合もあります。
幅の狭いひび割れの場合はUカットやVカットといった工法で溝を広げてから充填しひび割れの拡大を防ぐ工法が一般的ですが、広範囲の場合は弾力性のある塗装で全面的にカバーする方法もあります。
また、補修後に色合わせのために部分的に塗装を行うこともあります。
【費用相場】
部分的な補修:1mあたり1,200円~2,500程度
広範囲な補修:50万円~100万円程度
・外壁塗装
雨漏りの原因が塗膜の劣化による場合は、高圧洗浄で汚れを落とした後、下地処理(ひび割れ補修、シーリング補修など)を行い、防水性の高い塗料で塗装します。塗料の種類(ウレタン、シリコン、フッ素、無機など)によって耐久性や価格が大きく異なります。
【費用相場】
(一般的な木造戸建て住宅30坪程度の場合:足場代込み)
シリコン塗料:80万円~120万円程度
フッ素塗料:100万円~150万円程度
無機塗料:120万円~180万円程度
・部分的な外壁材の交換・補修
雨漏りの原因となっている箇所や、著しく劣化した部分の外壁材のみを交換したり、補修したりします。例えば、割れたサイディングボードを一枚だけ交換する、といったケースです。
全面的な張り替えよりも費用を抑えられますが、既存の外壁材と同じものが入手できない場合や、色合いが変わってしまう可能性があります。
【費用相場】
1箇所あたり数万円~(交換する範囲や材料による)
・外壁の張り替え・カバー工法
外壁材全体の劣化が著しい場合や、下地まで雨漏りの影響が及んでいる場合に行います。既存の外壁を撤去して新しい外壁材に張り替える「張り替え」と、既存の外壁の上から新しい外壁材を重ね張りする「カバー工法」があります。
塗装よりも費用は高額になりますが、外壁の機能を根本的に改善し、建物の耐久性を大幅に向上させることができます。断熱性やデザイン性を一新したい場合にも選ばれます。
【費用相場】
(一般的な木造戸建て住宅30坪程度の場合:足場代込み)
カバー工法(金属サイディングなど):150万円~250万円程度
張り替え(窯業系サイディングなど):180万円~300万円程度
・修理費用を左右する要因
上記の修理費用相場はあくまで目安であり、実際の費用は劣化の範囲と程度、建物の大きさ・形状、使用する材料や塗料の種類、足場の設置の有無、そして業者によって変動します。
雨漏りの修理で最も重要なのは、原因を正確に特定し、適切な処置を施すことです。費用だけで判断せず、信頼できる業者に診断してもらい、納得のいく説明と見積もりを受けた上で工事を依頼しましょう。
まとめ
雨漏りは建物の構造を腐食させるだけでなく、シロアリやカビの発生、健康被害など様々な二次被害につながり、住宅の寿命や資産価値を損なう可能性があります。そのため、定期的な点検と早期のメンテナンスが重要です。気になる点があれば専門業者に相談し、信頼できる業者を選びましょう。適切な時期にメンテナンスを行うことで、結果的にコストを抑え、住まいを長持ちさせることができます。
業者選びに迷ったら、実績が豊富で、診断や見積もりが丁寧、そして保証やアフターフォローがしっかりしている信頼できる業者を選びましょう。
千葉県船橋市を拠点とする「オーネストリフォーム」は、お客様の大切なお住まいを雨漏りの不安から守るため、専門知識と経験を活かした最適なご提案をさせていただきます。無料点検も実施しておりますので、外壁の雨漏りでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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